隊長 2018-10-24 21:35:56 |
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───は?
(そう一言口にすることしかできなかった。今まで見たことの無い相手の姿。いつも冷たく氷像のような男が何かに迷い、言葉を吐き出すようにしながら胸を押さえている。相手が何を言わんとしているのか途中で気がつけないほど純情でもなく、本気で驚き目を見開いた。今まで他人とは一線を引いてきた、それでは自分とはどうなりたい?胸を揺さぶられたのなら、何がしたい?言葉は理解できるがその事実を受け入れられなくて唖然としていると、襟首を掴みあげられ、そのまま唇が重なった。ほんの一瞬だけ、あの時と同じだ。優しいキスだった、唇しか触れていないのに、そっと抱きしめられ感覚に陥る。自分の弱みとも狂気とも言える部分を知ってなお、この男はそれを受け入れるというのか。)
お、まえ……──俺の言ったこと聞いてなかったのか?俺は、誰かを愛したとしても、そのうち……いつか、…相手を……お前を、殺してしまうんだぞ
(今すぐにでも自分の名前を、誰にも言えずにいた本当の自分を言ってしまいたかった。相手の首裏に手を添えて言葉が出かかる。しかし喉元まできたそれを既のところで飲み込む。こんな留まり方をしたのは初めてだ。自分の側にいてくれる人間が現れた時には迷いなく手を取っていたのに、何かがそれに歯止めをかける。自分でも分かっているのだ、この男にすぐに心奪われてしまうことが、そしてすぐにそれは自分の悪癖へと変わることも。相手の瞳を真っ直ぐにとらえながら言葉を絞り出す。互いの間にあるミニテーブルが酷く邪魔に思えた)
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