隊長 2018-10-24 21:35:56 |
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………。
(いつもなら軽口が返ってきてもいいところ、やけに大人しい相手を怪訝そうに見返せば、続く返答も引っかかる。なにをしているか聞かれて軽く躱されるかと踏んでいたか嫌に真面目に答えられ違和感を覚えて。それでもこれが普通と思えば一人納得し、顔を向けられた方向、店があるらしい暗い路地を見て。
あんなところに店なんてあったか?
__やっぱり今日のお前はなにか変だ
(普段外食をするにしても決まった場所でしかしないため店には詳しくない。しかし犯罪者たちを捕えるため街の道筋などはある程度把握しているつもり。話から隠れ家のようだが先程一度は納得した違和感は大きくなって。それはこれまでで培った勘のようなものだった。じっと相手の表情を伺って頬に手を添え此方に向かせて。
と、そのとき背後の暗闇で耳を澄まさねば聞こえないほんの些細な、しかしあまりにも耳慣れた音、銃の安全装置が外れる音がカチリと鳴る。刹那、背筋を這う殺意を感じ咄嗟に拳銃に手をかけ振り返りながら不可抗力だが相手を後ろに突き飛ばすかたちで後退して。とほぼ同時に銃声が響き足元すれすれを銃弾が霞める。間髪入れずに暗闇の中、火薬により銃口が光った場所めがけて銃弾を打ち込んでやれば拳銃が地面に落ちる音と共にくぐもった短い悲鳴が聞こえて。
『くそッ!!早まった…!おい東堂!さっさとそいつを気絶させろ!!』
(暗闇から姿を表したのは手を庇いながらも刃渡り20cmはある包丁を構え正気を失った声で怒鳴る男。男は特定の場所まで自分が来るのを待てないどころか、相手には気を引くだけで良いと言った約束すら忘れて、相手の弱みは握っているのだと睨みをきかせ脅迫紛いに命令していて。
しかしそんな企みや相手の心情など知らぬ自分は“二人に”嵌められたのだと勘違いしては身勝手にも裏切られたと感じ唇を噛み締めて背後の相手に鋭い眼光を飛ばし
こんな低俗なやり方をするとはな。買いかぶりすぎていたようだ
(相手に何かを期待するほうが間違っている。が、あの公園の狭い暗闇で確かに何か通じ合えたと感じていた。それは捨てなければいけない感情であるが、ただ今は“裏切られた”とやるせない思いが込み上げる。男は『さっさとしろ!』と相手をまくしたて。
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