執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>レベッカ
(扉の向こうから聞こえて来たのは、確かに人が生存している物音と、壁に阻まれて一言一句全てを聞き取れたわけではないものの、弾んだ貴女の声音。つられて此方も嬉しくなってしまいそうだが、現実では未だ扉は閉じられたままで、何処か機械的な所作でぎぎぎ、と首を傾げる。貴女の不安げな声に耳を傾ければ、今度は扉越しでもはっきりと聞き取ることが出来た。嗚呼そういうことか、と、自身と貴女を隔てるように閉じたままの扉をじっと見つめて「ン。オレ、さっき食べてキタ。だから満腹」余計な血腥い事実を付け足して伝えてしまったのは、少しでも貴女の不安を和らげてあげられたら、という安直な思いに拠る物で。それが逆効果を生んでしまう可能性なんてこのお馬鹿な怪物には懸念できない様子。そっと扉に大きな掌を添えて「…開けて、レベッカ。オレ、お前を食べないカ、ラ…?」この手に少しでも力を乗せれば、きっとこんな木の板一枚簡単に破ることが出来る。敢えてそれをしないのは、貴女に望まれたいという怪物の滑稽な我欲だろうか。言葉を口にして初めて、貴女に食欲を唆られた記憶が無いことを自覚した。きっとそれは、貴女が食べるには惜しい、眩しい人間だからだろう。しかしテオにはまだそこまで理解出来ず、尻上がりに疑問符を浮かべて)
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