執事長 2018-10-04 22:19:25 |
通報 |
>ルシアン
(己の視界から少しだけ外れた場所に腰を落着ける貴方から視線を外し、自分の膝先を見るかの如く少し目を伏せる。今から口にしなければならないことが、貴方にどれほどの衝撃を与えるか分かっているからこそ、膝の上で揃えた手の指先に少し力が入る。「貴方は、私たち怪物の餌として、此処へ連れて来られたの。私も、ジェイドも、貴方たちが食べるような食事では空腹を満たせない。――だから、人間を食べるの」躊躇っていても仕方が無い。自分から真実を明かす大任を背負ったのだから。満を持して告げたのは、嘘偽りない事実。怪物と人間を二分する一本の境界線が、今ここに浮き彫りになる。どこまで行っても、捕食者と獲物という構図は変わることは無いのだ、と。「けれどジェイドは、人を捕食する度に深く自分を責めるのよ。そうすることでしか生きられないのに、仕方の無いことと割り切れない…不器用な怪物よね」付け足すように紡いだのは、ジェイド自身の事。家畜を屠殺し、調理し、口へ運ぶことに、心が壊れてしまいそうなほど罪悪感を抱く人間なんてほんのひと握りだろう。ジェイドは、怪物側において極めて稀有なマイノリティ。マリーシュカ自身も、人間を食べる際に一片の罪悪感も感じないと言えば嘘になるが、それよりも愛しさや感謝の気持ちの方が大きい。食事をマイナスの事として捉え、苦しむジェイドの気持ちは、怪物であるからこそ自身にも完全に理解してやることは出来なくて)
トピック検索 |