執事長 2018-10-04 22:19:25 |
通報 |
>クォーヴ
(目には見えず、窓も扉も閉められ風は無いはずなのに、肌に感じる何か。そして隣に座る穏やかな笑みを浮かべる紳士の姿が、やけに大きく、そして何故か、恐ろしく感じる。これは一体何なのだろうと表現し難い現象にぐるぐると混乱する思考にばかり意識が注がれては、引き寄せられた手の甲に伝わる、冷たくも柔らかな唇の感触。触れられた途端に体が重く感じれば、バランスを崩した体は相手の胸元へもたれ掛かるようにして倒れてしまう。そして大事な何かが、自分の帰りをいつも待っていてくれたはずの、手塩にかけて小さな頃から育て妹のように可愛がっていた存在の姿が頭から抜け落ちる。忘れてしまっては、記憶を食べられてしまってはそれ事態に気付けないまま「テオに?思い出って……ごめん、言ってる意味が分からない。それにこれは何?教えて、ねぇクォーヴさん……!」不穏なその発言、何故彼がテオに伝えるのか。分からない、分からないと思考がうまく纏まらない。先ほどと何も変わった所が見られない目の前の相手の表情が今更酷く恐ろしく感じようと、体が思うように動かなければ後の祭りであり。相手がバケモノであると思い返しても、どこか今のこの事態に信じられない思いが捨てきれず。自然と瞳の表面に薄い水の膜が出来上がり、瞬きをした拍子に一筋の滴を目尻から流しながら視線だけを動かしては、真っ直ぐ見つめながら相手の名を呼び掛け)
トピック検索 |