執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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――、(年相応の少女らしからぬ、冷徹なまでにリアリズムを体現する答えには、微笑みのままに内心で多少面食らって。会った時から変わり者の子だとは思っていたが、自分に必要な取引の為には大切な物をかなぐり捨てる強かささえ持ち合わせていたとは。手のひらに乗せられた、自分の指には幾分か小さすぎる指輪。決して重くはないそれを、拳を作って握り込めば、淡い光がそこへ宿り、次に手を開けば手品の如く指輪は跡形もなく消え去っていて。「取引成立。君の気風に敬意を表して、良い所に連れてったる」後悔はない、その言葉さえ聞ければ此方も満足。すっと差し出して貴女の手を握ろうとするのは、万が一他の怪物に出会った時の牽制の為。ただ屋敷の中を探検するだけでは、延々と続く廊下と扉と階段を繰り返すだけなので面白くないだろう。あまり人間を連れ回すことは好まないが、取引が力を持つ今日は特別、とばかりに、貴女の手を引きつつ廊下へ踏み出して)
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