執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>エヴァン
……ふうん、(人と接するのが不得手な貴方は、嘘を吐くこともまた苦手なのだと学ぶ。納得もしていなければ疑いもしていない、そんなどっちつかずの吐息混じりの返事を。「…エリはさ、ちょっと不安だったの」くるり、貴方へ背を向けると同時に、足元の水が静かに音を立てる。先程とは打って変わった、やけに物静かで控えめな声音は彼女らしくない。背を向けたまま、言葉を続ける。「エヴァンのポケットの中の物。…魔力が宿ってる。誰に貰ったか分かんないけど、もし悪い奴からの贈り物なら――、」ポケットの奥で奏でられる涼やかな音色を耳にした時から、それに魔法の類の力が働いていることは判っていた。どうやってバケモノからそれを手に入れたのか、何が目的でそれを欲しがったのか、もしかしたら何か悪い取引でも交わしてしまったのではないか―。「…あなたは気が弱いから、そいつに食べられちゃうんじゃないかって」少し俯き加減に寂しそうな声を出すのは、故意か否か。ともかく、捕食者として獲物を失うことは避けたい、それは味見済みの上等な餌なら猶更。尾てい骨から生えた鏃のついた尻尾が、儚げにゆらりと揺れて)
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