執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ジェイド
30倍っ!?そんなにあるの?ぼくの指がどれだけあっても足りないやっ(“ひーふーみー”と一つ一つ指を立てながら数えてみるが直ぐに限界はきてしまう。両手で頭を押さえくしゃくしゃに髪をかき乱しては、降参を表すように手を挙げお手上げのポーズを。するな、と言われてどうして素直に言う事が聞けようか。しかも探検なんて楽しそうな言葉付き。好奇心に瞳をキラキラにしながら「探検!なんて楽しそうな響きなんだっ!ジェイド、今度僕と探検しよう!もちろん隊長は僕だからねっ」ぴっ、と人差し指で自身を示し。ただ救いなのは一人で行こうという考えはない事。彼が付いて来てくれるのに、何故敢えて一人で行くなどと発想できようか。柔らかな笑みはつい目を惹きつける。じ、と見詰めながら相手をこんな表情にさせてその場所が恨めしいような見てみたいような、複雑な心中で。むむ、とつい難しげに眉間に皺が寄ってしまう。ぶんぶん、と頭を左右に振り気を取り直すように「へぇ、僕の何倍も大きい?今度行った時、ジェイドはその木陰でお昼寝してていいよ。僕はお昼寝してるジェイドを描くんだ!それで描き終わったら君の尻尾に包まって僕もお昼寝するっ」楽しげな想像を披露。考えているだけでそれがとても素敵なアイデアのように思えて仕方ない。未来の予想図に両手を口許にあててふふ、と笑い零す。宥めるような穏やかな声音が耳に痛い。きっとどれだけ自分に非があったって、こうやって慰めてくれるのだ。故に怖い。無意識に傷付けてしまっていないかが。彼の優しさにか、それとも己の不甲斐なさにか、じんわり目蓋が熱を孕む。「…知ってるよ。ジェイドはかわりに自分の棘で自分を傷付けちゃうんだ」彼が心の棘で相手を傷付ける、なんてそんな事を心配してるのではない。その反対を危惧してるからこそ後悔の波が押し寄せるのだ。「君は僕とか…自分以外を大切にしすぎるよ。僕たちに向けるはずの棘を自分に向けてるんじゃないの?君の心が血を流してないかとっても心配なんだ」素直に心の丈を伝える。自分は今だって彼の暖かな手に癒され、既に心の傷は修復されかけている。なら彼の心の傷は?漸く顔を上げ、真剣な瞳で翡翠に輝く双眸を見詰める。そっと伸ばした指先は彼の心臓の上、慰撫するようにそっと撫でて。「へへ、ならお互いがお互いの太陽で光ってことだね!つまりはお互いが無くてはならない存在、比翼の鳥と同じだ」大切にされているのが言葉を通して、ひしひしと伝わってくる。むずむずとした照れ臭さはどうしたものか。薄っすら熱らせた頬のまま、照れ笑いを一つ。“比翼の鳥”、その難しいワードだけは幼い頃に聞いてからずっと耳に残っていたのだ。きっとそれは、そんな存在を渇望するあまり…。穏やかで優しい声音が大切な言葉を紡ぐ。合わさった視線も抱き止めてくれる両腕も全てが大好きだ。そう声を大にして言える。伝う滴さえ美しく、それは窓から室内へと入ってくる暖かな光によって、より神聖なものへと昇華される。ぽう、と見惚れるように暫し沈黙が落ちる。やがて涙は伝染したかのように己の瞳からも一粒溢れた。それをキッカケに張り詰めていた空気は緩む。くすくす、と小さく肩を揺らし「…ジェイドは意外と泣き虫だね!君が僕を光だって言ってくれるなら、僕はいつだって君を照らし続けるよ!だから泣かないで。折角の男前が台無しさっ」彼の濡れた頬を親指の腹で拭い取る。自身にとっても彼は生きる糧の一つ。きっとそれを言い合っていたらキリがない、だから態とらしく話をまるっと纏めて最後には空気を軽くするように、揶揄い口調で告げ)
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