執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ドロシー
(此方の言葉に惜しみない同意を示してくれた貴女、同じ気持ちだったのね、と言わんばかりに柔らかく微笑んで。誰かを抱えて飛んだのはとても久しぶり、否、もしかしたらこれも初めてかもしれない。重力に逆らう浮遊感、此方にしっかりとしがみついていてくれるのは助かるが、貴女は怯えてしまっていないだろうか。ふと貴女の表情へ目を遣ると同時に、感嘆の声が上がったのを聞いて心中の心配は晴れる。「ふふ…、草木や花に囲まれるのもいいけど、上から見下ろすのも素敵でしょう?」喜んでくれて良かった、と心から思いつつ、自分も眼下に広がる夕焼けに照らされた広大な庭園を見下ろして「…貴女に、見せてあげたかったのよ」朱色の西日に照らされる横顔で、満足げに小さく呟いて。やがて地面へ辿り着けば、危なげなく片足から着地して貴女をそっと降ろして。そこはまさしく庭園のど真ん中、草のアーチや立派な大樹、人間界ではありえない造形や色彩の花が咲き誇る場所で)
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