執事長 2018-10-04 22:19:25 |
|
通報 |
>ジゼル
(今から食べてしまうというのに、獲物から礼を言われるなんて初めての体験で。この短時間で、貴女は沢山の初めてを己に教えてくれた。初めこそそれを奇特だと思ったものの、嫌悪なんて抱くはずもなく。生まれ変わったらまた会いたい、だなんて思うくらいには貴女に興を惹かれていて、こんなのらしくないとかぶりを振る。今だって、貴女は己に組み敷かれながら、死の予感を間近に感じつつも晴れ晴れとした表情を浮かべている。どうやったら、今わの際にそんな顔が出来るんだ、と内心で問いかけて。ふと、貴女が痛みにくぐもった声を上げるのを聞けば、食欲と言う本能に引っ張られて獣と化してしまいそうだった自分は寸でのところで理性を取り戻す。「…痛いか。辛いなら、……一思いに終わらせてやることも出来るぞ」ずぐり、貴女の腕に食い込んだ爪を抜けば、それを彩る赤い液体を、蛇の如く先端の分かれた舌でぺろりと舐める。まだ暖かさの残るそれはとても美味しくて「うめえ、」と思わず呟いていて。絶えず鮮血が滴る貴女の腕を、がぶりと噛み砕いてしまいたい衝動を懸命に堪え、痛みを長引かせるかどうかの選択を貴女に委ねて)
| トピック検索 |