執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ルシアン
…翡翠か、そうか。俺は、そうだなあ…菫色なんかは、綺麗だと思うぞ(貴方の願いを出来る限り聞き届けてやりたい、昨夜そう告げた言葉に嘘偽りはなく、そっと心のメモに貴方の好きな色を書き留めて。昨日から、という言葉尻からして、少しは自惚れてみてもいいのだろうか、と心が浮つく。良い大人がそんなに単純に喜ぶ所を気取られるのはなんだか恥ずかしく、努めて冷静な口調で同じ問いへの答えを。意趣返し、と言わんばかり貴方の瞳をじっと見つめつつ告げた言葉は堂々と。「凄いな…、お前は絵の達人だ。ルシアン画伯に似顔絵を描いてもらえるなんて、一世一代の晴れ舞台だ」スケッチブックを彩る一輪の花、けれどページごとにその様相はガラリと違っていて。芸術への着眼点、被写体の機微を目敏く描写する画力等、貴方には驚かされっぱなしで。無意識の内に口元に片手を当てつつ、心から感心する声音を隠さずに称賛を贈って。こうなると貴方に絵を描いてもらえる事の重大さがよりはっきりと浮き彫りになり、気合を入れ直すようにコホンと咳払いをしては再度蝶ネクタイを両手でいじって位置を直して。「気に入ったんなら良かった。でも、甘いものを食べたらきちんと歯磨きしなくちゃダメだぞ。虫歯なんか出来たら、お前の牙が悲しむぞ」チョコレートを食べたことが無い子供なんて信じられなかったが、貴方の心からの感動を込めた言葉を聞く限り、どうやら己の見識が狭かったようで。今まで味わったことのないものを一つでも体感させてやれて良かった、と心は満たされる。けれど、甘いものには毒がついて回ることもきちんと教えてやらねば、と指を一つ立てればじぃっと貴方を見詰めて真剣に忠告して。「ああ、ルシアンは名探偵で大画伯なんだ。頼りにしてるぞ、相棒」陰りを帯びた雰囲気は、貴方の気遣いと優しさに吹き飛ばされて。その流れに任せて和気藹々とした空気を取り戻すべく、尻尾をゆらゆらと揺らして見せれば、片手で拳を握りそれを貴方に差し出す。拳同士を軽くぶつけ合う、いわば男同士の誓いの動作を思い浮かべていて)
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