執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ジェイド
ちぇー、違ったのか。残念。いきとーごー?それって仲良しってこと?(どうやら物知りの振りをして紡いだ言葉は逆に己の稚拙さを露呈させてしまったようだ。唇を尖らせ、少しばかり拗ねてみせ。だが続く聞き馴染みのない言葉に意識は持っていかれる。少ない語彙の中で、何となく雰囲気的に合いそうな言葉を選んでは、物知りな彼にご教授願うように問いかけを一つ。彼が発する唸り声も牙も怖くなんてない。どうやら彼の中の怖いものと己の中の怖いものは違うようだ。勝気に光る瞳を注ぎ「ジェイドさんは怖くないよ!本当に怖い人はそんな事言わないもの。最後まで人の良い顔して、自分の手なんか汚さずに僕らみたいなのを塵のように捨てるんだ」だから怖くない、と言い切る。殺伐とした優しくない日常と隣り合わせだった日々。今迄見聞きしてきた悲惨な体験を思い出しながら語る。真っ直ぐなまでの視線で彼を一心に見て。この数時間で触れ合っただけでも、彼は自分をすごく気遣ってくれた。もし其れも演技だとして、騙されているのだとしたら、自分もそこまで、という事なのだろう。どこか達観したように頭の片隅で思う。「それに僕だって牙があるんだからね!もしジェイドさんが悪いことしたら噛んじゃうんだからね!」大口を開け、八重歯を覗かせては言葉が終わると同時にガブッ、とかぶる真似をしてみせる。何となく紡いだ歌は彼の与り知らぬものだったようだ。といっても己もよくは知らない。何処かの国の人が歌っていたのを偶々聞き覚えただけなのだから。でも彼が知らない事を己が知っているという事実が少し擽ったく心地よい。クスクス、と勿体つけるように笑みそっと口元を囲うように両手を添え「…あのね、約束の歌なんだよ!約束を破ったら怖いことが起こるんだってっ。だから約束はぜーったいのんだからね」小声で内緒話をするように伝える。いい?分かった?と念押しするように何度か確認をするのは、約束が楽しみで仕方がないから。「…?僕はいつでもいいよ!する事って言ったら絵を描く事ぐらいだもん」端っから予定などない己にとっては待つ事など造作もない。少しばかり用事、と言った際の彼の雰囲気が気になるが、この分ではきっと今聞いたところではぐらかされそうだと思い。思わず良からぬ企みが脳裏を掠めるが一旦追い出すように頭を数度振って。頑張って伝えてみた願いはどうやら叶いそうもない。優しく提案されたが、とてもではないが素直にうんという気にはなれなくて。繋いだ手を振り払おうと力を込めたが、何故かそれは出来なかった。優しい彼に恩知らずな真似をしたくなかったのか、将又嫌われたくないと無意識下でストッパーが働いたのか。きゅ、と眉間に皺を寄せ、下唇を強く噛みしめる。「…それでも目が覚めた時は独りぼっちだ…」彼に果たして聞こえただろうか。自分でも拾いとるのに困難なほどの小さな声量でポツリと一言。どうかしている、会ったばかりの彼を困らせるなんて。噛み締めていた下唇を解放し「なーんて、嘘だよ!困らせてゴメンね。僕、自分の部屋なんて持ったことないから、ちょっぴりドキドキしちゃった。大丈夫、僕は強い男の子だからね!一人なんてへっちゃらさ!」早口でまくし立てるように言葉を並べ、精一杯口の端を持ち上げて笑みを作ってみせる)
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