執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ルシアン
……、そうだな。お前の言う通りだ、ルシアン。(貴方の一挙手一投足は、悉くバケモノの心の琴線を揺さぶる――良い意味でも、悪い意味でも。貴方に興味が無い筈がない、その理由は言わずもがな、自分が貴方を喰らう怪物だから。そして心のどこかで無意識の内に恐れるのは、貴方が真実を知った時、その無邪気な笑みを向けてくれなくなることだ。そんな心の陰りを振り払うように、貴方の頭をぽん、と一度だけ撫でれば肯定の返事を。「それはどうかな、これに気付かない方がよっぽど難しいと思うが」したり顔の貴方、子供特有の厭味のないそれに思わずくすりと含み笑いを。尻尾を大きくゆらりゆらり、耳をぴこぴこと動かして見せながら、こんな異物が頭に付いていれば誰でも気づくのではないか、なんて貴方を揶揄うように鼻先へちょこん、と触れて。「…そうか?絵描きさんが言うなら大丈夫なんだろうな、楽しみにしてるよ」惜しげもなく、表情や所作の全てで喜びを伝えてくれる貴方に、ふと目元は緩んで。座っているだけでいいのだろうか、モデルをきちんと務められる自信は無いが、貴方が応と言うならこれ以上追及はしない。約束、と言わんばかりに貴方の眼前へ小指を差し出して。貴方が首を傾げたのを見てから、しまった、と反射的に思う。複雑そうな表情を貴方に見せて困らせる気は無かったのだが、元来嘘を吐けない性格は、開けっ広げな貴方の前では表情すらも素直にさせすぎてしまうようで「誰にも内緒、だな。もし喋ったら――、こうしてやる!」慌てたように取り繕った笑みは、少し歪になってやしないだろうか。それを誤魔化すように、がばりと貴方に密着するように接近し、大きな両手で貴方の脇を擽って。いきなりポロポロと涙を零した貴方に「、どうした?!よしよし、泣くな泣くな…!」わたわたと狼狽し、貴方の涙や鼻水を紙ナプキンで何度も拭うその様は、まるで赤子の世話に慣れない新米パパを彷彿とさせて。涙声の貴方の言葉を聞けば、感激と同時にまたしても罪悪感がドロドロと胸中を汚す。自分は決して“良い人”などではない――、いつかは真実を打ち明けなければならない。でも今は、貴方の食事を邪魔してしまう、と全ての言葉を飲み込んでは新しい言葉を用意して「…おう、腹一杯食べれて良かったな。これからはお前の部屋に食事を用意させるよう、コウモリ達に頼んどくよ」きちんとご馳走様の挨拶をした貴方へ、此方も満足げな視線を送る。この食堂は一人でも利用できるが、この屋敷の中を幼気な貴方単身でうろつかせるのはどうにも危険が大きすぎる。他のバケモノにあっさり喰われてしまわないように配慮をしつつ「―じゃあ、部屋に戻るか。風呂も入らないとな、」がたり、椅子から立ち上がれば、タイミングを見計らったように使い魔たちが食器を下げてゆく。貴方の部屋へと戻る道案内の為、手を差し伸べて)
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