執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ドロシー
あら、貴女は可愛いわ。容姿もだけれど、――心も、とっても綺麗で美しい。私にだって分かるほど、ね(ずい、と身を乗り出して貴女に顔を近づけながら、その柔らかそうな頬に手を添える。そして、誠に遺憾だ、と言わんばかりに少々語気を強めて。貴女がいくら謙遜しようともそこだけは譲る気は無いらしく、浮かべる表情は至って真剣。それに、貴女の魅力は表層的なものだけでは断じてない。貴女の頬にそっと触れた手を、すす、と左胸辺りまで滑らせる。まさしく心臓の位置を差す場所、デリカシーを考慮して強くは触れずに手を止める。服の上からでも、指先でそっと触れるだけで暖かさが伝播するような感覚、それは凍てついた心臓を持つバケモノにも実感できるほどで。どうやらプレゼントは気に入ってもらえた様子、華やぐ貴女の表情を見れば此方もつられて目元を細めて「そう言ってもらえて嬉しいわ。…それを見るたび、私を思い出してね」ブレスレットを見詰める貴女の横顔、永遠に眺めていられるとさえ思える美しさは映画のワンシーンの様。己の私物を貴女に与えることで、きっと貴女が呼べばいつでもそれに応えられる――それも一つの建前に過ぎなくて。プレゼントの真意は、悪い言い方をすればマーキングのようなもの。他のバケモノに対して、“この子は私の獲物、だから手を出さないで”と手っ取り早く伝える手段で。美しいブレスレットに見合わぬ血腥さが香るプレゼントだが、そんなことはおくびにも出さず、甘く伝えた我儘もまた本心で)
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