耽溺のグランギニョル【 指名制 / ＮＢＧＬ 】

＞ノア

（長生きできても100年前後の人間に比べて、バケモノ達は数千年の時を生きる。レンブラントも外見こそ人間の青年を模しているが、実年齢は数えるのも億劫なほどで。「ふは…、輸血、かぁ。……あったらええのになぁ、魔力バンク」力なく吐息が漏れたような笑いと共に、最後の力を振り絞った軽口を叩く。輸血という概念は勿論知っているが、それは血液が形あるものだから保存することが出来る。魔力は不可視のエネルギーであり、人の力では抽出も保存も出来ないだろう。足りない魔力を外部から補う方法は現実的ではない。へたり込んでしまった貴女、その体温が膝に触れたのを暖かさだけで感じ取る。思えば、自分に温もりを与えてくれた人間と出逢ったのはいつ振りだろう。思い出せないほど昔の話、否、もしかしたら初めてかもしれない。冷たい片手を、貴女の手の上に重ね、ふ、と薄く微笑んで。「おおきに…、ほんまに、おおきになぁ……、ノア…」微かに震えるもう片方の手で、貴女の頬をそっと撫でる。悪魔が人間に感謝するなんて、前代未聞だろう。「あの花……、君に、よぉ似合って――、っ」黄色くて可憐な花、それはまさに貴女を彷彿とさせる。そのことを伝えようと力を振り絞るが、苦し気に呼吸を詰まらせ、前のめりになると貴女の手をぎゅ、と強く握って）