耽溺のグランギニョル【 指名制 / ＮＢＧＬ 】

＞ノア

――――寿命なんよ。（捕食関連の話、そして、自分の独特の訛りが不器用に混じった貴女の言葉。その全てを無言のままに受け止めてから、ようやく引き結んだ口を開いて零れ出た自分の声は、ひどく落ち着き払っていて。悪魔に老いの概念があるのか、そして寿命という概念があるのか――それは貴女には知る術のない事。けれど、どこか諦めたような、達観したような口調で突き付けられたその二文字は、有無を言わさぬ説得力を持っていて。「…悟ったのは、最近や。最近、ゆうても、君ら人間の感覚で表すなら四半世紀前くらい。…魔力が、急激に弱まっとる。悪魔にとって魔力は血液と同じなんや、人間かて身体から血が足りひんなったら生きられへんやろ」貴女に背を向けるように、ソファーに座ったままぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。まるで、顔を見られたくないかのように。身体の調子がおかしい事、そしてそれが、レンブラントの死期を示唆していること。「さっきの魔法な、最後の力やったんよ。…カッコ悪いやろ、悪魔が、花…一輪、綺麗にすんのが……限界、やなんて」くすり、と吐息と共に零れ落ちた笑いにいつものような覇気は無く。呼吸が、穏やかに乱れていくのを隠しきれず、いつもの流れるような口調ではなく途切れ途切れの苦しげな其れに変化するのを止められない。貴女に贈った黄色、せめてそれだけは永遠に美しく在るように――最後の魔力を使い果たした、という事実がどのような結果に繋がるのか、勘が鈍くなければ分かるだろう）