執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>ラクシュエリ
(不意の浮遊感に声を上げることもできず、甘い香りに優しく包まれるような感触でベッドに寝かされたのだと知る。彼女が自分に跨るのを拒否するような力はない。たぶん、食べ物に何か入っていたのだろう。初めに会った時に彼女は言っていたはずだ、“早く楽になりたいのなら”…死にたいのなら、部屋に来いと。それが実現しようとしているだけ、自分は悪魔を信用したただの大間抜けだった。決して甘くはない口付けは長く永遠に続くような錯覚すら、以前と違うのは感触が鈍くなっているということ。じぃっとあのピンクの目が此方を向いている、ような気がする。ぼやけた視界でははっきりとその像を捉えることはできないがその視線からどうにか逃れようと軽く顔を横に傾けて。体は動かなくとも声は聞こえている。世界にさよならする時間、なんて。此方は動けもしないのに何を。浅ましい自分を嘲笑い、口角を少しだけ上げるのが精一杯で)
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