執事長 2018-10-04 22:19:25 |
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>エヴァン
(一口、また一口を食事を口に運ぶ貴方の様子を、楽しそうに微笑みながら眺める。元気のなかったペットが、回復してもりもりと餌を食べている様をじっと見つめる少女のような、朗らかな笑み。しかしその視線と笑みが、見た目ほど可愛らしい理由で湛えられているわけではないことを、貴方は間もなく思い知るだろう。特に邪魔が入ることもなく、貴方が満足して食事を終えるまで穏やかに時間は流れた。「……良い食べっぷりだったね、エヴァン」カタ、と小さな音を立てて立ち上がる。ゆっくりとした足取りで移動した先は、貴方の座る椅子の真後ろ。その背凭れの部分に手を当てて自分の体重をかけながら、身を前に屈めて貴方の耳元へ口を寄せる。「次はエリの番、だよね?」愉悦に歪んだ口元、小鳥のようなソプラノの声に混じるのは悪魔としての凄味。――そういえば、最初にエリが持っていたあの毒々しい花がいつの間にか消えている。果たしてどこへ行ったのだろうか。ヒントは、最後の晩餐。あの花は人間界には存在しない特別なもので、その花粉は人体に有害な非常に強い毒素を含んでいる。少しでも摂取してしまえば、立ちどころに全身が麻痺し、涙腺に異常をきたして涙が止まらなくなる――まさに、悪魔の花。)
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