匿名希望。 2018-10-03 06:26:37 |
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《 トド松 》
…そうかな?僕、誰にでも優しい訳じゃないよ?それに明歩ちゃんが思ってる程いい人じゃないかも。─気を付けてね?
(優しい、極道として生きてきた己には似つかわしくない言葉を掛けられると、そういえばこんなに他人に対して心から親切な対応を取ったのは幼少期の頃以来かもしれないと、無意識の内に相手の事を気遣っているのに今更気が付くものの、立場上“優しい”という言葉に対して素直に頷ける筈もなく、妖しく口角を吊り上げれば口許に人差し指を当てて上記述べ。何処か抜けている印象を受ける彼女を心配しての忠告だったが、案の定声を上げてスープが入った缶を口から離す様子に「!…もう、大丈夫?今ので火傷したんじゃない?口の中ヒリヒリしない?」頬を両手で包み自分の方へ向かせては目の前まで顔を近付けて火傷の確認をして。背中に体重が掛かったのと同時に柔らかいものが押し当てられるのを感じるが、意識しない様に邪念を振り払い、そのままおぶって軽々立ち上がると華奢な身体はいとも簡単に持ち上がり、不意に後ろからふんわりと香るシャンプーの香りが鼻をかすめては、ドキリと胸が高鳴るも態度には出さずにいつものトーンで平然と会話を続けて)
全然重くないよ、寧ろすごく軽くて心配になっちゃう。ちゃんと食べてる?
《 雪乃 》
ううん、勉強よりやりたい事が出来ただけ。─…私ね、ロシアへ行ってから本格的にバスケを始めたの。
(小学生の頃から机に向かいっぱしなしでテストの点数も落とした事がない所謂優等生だった為彼が驚くのも無理はなく、自分でも変化に苦笑してしまう程で、此方を心配げに見る相手に事情を話し「私にバスケの楽しさを教えた青峰くんのせいよ?…なーんてね」冗談交じりに付け加えつつ穏やかな笑みを浮かべ。半分に割ったパンを四口程で食す己に対し、たった一口で食べる相手を横目で目の当たりにすると「わ、大っきい口。一口で食べちゃったの?」男女で一口の大きさは違って当たり前だが、珍しいものを見る様に瞬きをパチパチと繰り返し。幼い頃なら迷わず“楽しい”と答えていただろう彼の口から“普通”という言葉が吐かれては、一瞬青い瞳が泳いだのを見逃さず、きっと何かそうさせる出来事があったのだろうと察せば、握った大きな掌はゴツゴツとしていて、やはり触れてみると所々肉刺が出来ている部分もあり、誰よりもバスケが好きなんだなぁ、なんて内心思いつつも柔らかな口調で訊いてみて)
何でもないよ。ただ、ずっと退屈そうな顔してたから気になったの。…隠さなくても大丈夫だから、正直な気持ちを教えて?
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