人間の娘 2018-09-15 14:22:18 |
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この選択は、傍から見ればそのように映るかもしれません。ですが、私にとっては恩返しだと思っております。寺の者は孤児だった私を育て、沢山の愛情を注いでくれました。村のみんなもまた然り…そんな心優しい人たちが以前と変わりない生活を送れるようになるのであれば、我が身がどうなろうとも構わないと思っております。
(先程の"他の者とは違う"という言葉の意味はこれであったかと理解すると、神の怒りを買ってしまったのかもしれないという不安により極度に緊張していた糸が緩み始め、落ち着きを取り戻し。しかし目の前に居る相手は神聖なお方、緊張感は保ったまま無礼が無い様、発言には慎重に言葉を選ぶ。相手の鋭い指摘には正直、苦い表情を浮かべずにはいられなかったが、だからといって今更この決定に不満を申し立てるつもりはなく。むしろ自身が犠牲となる事で彼らが救われるのならば、この先に待つ運命がどのようなものであっても喜んで受け入れるつもりである。目一杯の愛情をくれた彼らに再び笑顔が戻るところを想像すれば自然と目尻が緩むのを堪えきれず。時々考えている事がこうして表情に出てしまうことがある為、平伏した姿勢のままで良かったと安堵したものの相手は神様なのだから、もしや顔など見なくとも表情を読む手段を心得ておられるのでは…などという恐ろしい考えが頭の片隅を占めつつも、しっかりとした口調で意志を伝え。)
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