ポップなデザイナー 2018-09-07 21:07:52 |
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根っからの善人はいないなんて、普通は逆の意味で使うのに。見かけは怖い人が多いんだけどね…あの出だしの挨拶がダメなんじゃない?ほらアップルポイズンだっけ?あんなの笑っちゃうに決まってるじゃないか。もちろん!絶叫系にのって思いっきり叫んだらスッキリするからねっ!さ、早くシリキ・ウトゥンドゥが僕らを待……ジョ、え、…ぁ……──
(彼が口にした本来の使い方とは逆の言葉にクスクスと笑いを浮かべる。これもヴィラン特有の言い回しだろうか。怪しげで暗い色をふんだんに使う衣装を身に纏うリクルーター達は怪しくも美しいという言葉がぴったりだ。それなのにマイクの前で自己紹介を始めるとそこには様々な個性が現れて、中にはヴィランらしからぬ明るさを持つ人もいる。英語と日本語を交ぜた口上をのべる毒林檎の彼も見た目と挨拶のギャップが激しい人のひとりで、妙に印象に残っていた。彼が思う絶叫系に乗った時の自分のイメージはまさにピッタリだ。叫んで騒いでが許される場所、それなら思いっきり弾けなければポップじゃない。落ちる瞬間ふわりと感じるあの浮遊感がたまらなく好きだ。彼はこちらの提案に異議はないらしくそのまま意気揚々とタワーに向かおうとした。その時に繋いだ手に力が込められたのを感じ、まずは繋がった手を、次に相手の顔を見て数秒停止してしまった。こちらが好き勝手に握った手に反応が返ってくるなんて夢にも思わなかったし、何よりも彼からこちらの手を離さないようにと緩くでも力が込められたのがたまらなく嬉しかった。自分のペースでなら何をしても気にならないのに、そこから外れると途端にしどろもどろになってしまう。なんだが彼の顔を見ていられずふいと前方に顔を向けると、そのまま目的地へと歩き出したのだった)
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