マーメイドラグーンの従兄弟事情 《〆》

…どーせ来んならもう少し手の空いてる時にでもしてくれりゃ有り難いんだけどなァ。トリトンの傘下でアリエルと仲良しやってるお前の事、あのひとがどう思ってるかなんて簡単に想像付くだろ？…触らぬ神に祟りなしだ、とりあえず鉢合わせでもしないようにせいぜい気ぃ付けとけ。ハイハイ、上で平和に生きてきたやつらは皆そう言うけどよぉ、そんな繋がり全部失くして消えてったやつを俺は何人も見てきてんだ。～……少なくとも、お前にそれを望んじゃいねーよ。…だからさっきから止めてんだろうが。
(嬉しげな笑顔何となく直視出来ず視線を逸らせばそこにあるのは彼が訪れて来たことをきっかけに作業が止まってしまった書類の山。見るだけでうんざりするその量に辟易とした様子。恐らく彼と自分が従兄弟である事はある程度知れているはず、彼が目立つ行動を起こせば間違いなく自分に話が回って来るだろうと想像し一瞬顔を顰めた。面倒事を嫌う性格上、彼が主人とコンタクト取ろうとするのは避けねばならないと考えてその案を却下し。幾度説明しても変わらず明るく真っ直ぐな彼の言葉、聞き飽きた台詞だと一蹴。此の海に潜む闇の力がそう甘くは無い事を話しつつ最後の問い掛けには些か答えづらそうに間をあけた後ぼそぼそと人に聞かせる気がないような声量で呟き。先程から触れたままの手は、珍しく僅かに熱を持っていた。)