マーメイドラグーンの従兄弟事情 《〆》

お前がこうやって此処に来るだけならな、大した問題にはならねぇ…と思うが、それでもバレたら面倒事にはなるだろうな。そんときゃ俺は知らねーぞ、…だから勝手にしろ。…あのな、こっちはお前らの生きる世界と違って甘い話ばかり転がってるわけじゃねぇんだよ。例えばここから一生出られない魔法を掛ける事も出来るし、アースラ様が寄越せと言えば俺はそいつの身体を差し出す。…お前は俺達と契約するって事を軽く見すぎなんだよ、条件次第では本当に何もかも失うって事よぉく頭ん中に叩き込んどけ。
(彼と言葉交わす内気付けば随分と絆されてしまったようで、些か分かり難く遠回しながらも彼の来訪については少なくとも悪く思っていないと取れる意図の発言をぽつり、零し。笑みを絶やさず話す彼の口から洩れたあまりにも楽観的過ぎる意識にはなぜか此方が焦りを感じていた。やはり彼には契約をさせたくないという思いが強いようで、重ねられた手を解く事すら忘れて悪との契約のなんたるかをいつになく真剣なトーンで話して。)