マーメイドラグーンの従兄弟事情 《〆》

ははっ、言っちゃった。でも僕は僕が信じたことをしていかなくちゃ、これデザイナーの基本だよ！ここに来たのもそういう理由かな。――…ふーん、契約「しない」じゃなくて「させない」なんだー…ジョーが僕のこと考えてくれて嬉しいな。でも契約内容が浮かばないから今すぐ契約は無理だね。僕の大切なものと叶えたい願いとは一緒だし、あと僕が持ってるものは…デザイナーとしての才能？
(トリトン王に言い返したことなど気にも留めない様子で軽く笑い飛ばす。自分が信じた道を突き進む力は個性がものを言うデザイナー界では必要な能力だ。ただでさえ近隣にライバルが3人もいるのに、自己主張して行かなくてはすぐに勢いに飲まれてしまう。彼の契約拒否への言葉に目を瞬かせたあと机に肘をついて、すました笑顔を見せた。そもそも噂によれば、彼はどんな願いであれ契約に応じ、その代償をいただく存在らしい。その彼が自分を契約させないという文言で断ったことが、どこか自分が特別扱いされているようで嬉しかった。すました顔からは途端に上機嫌なオーラが溢れ出す。今はまだ契約内容も浮かばない、良い条件が浮かんだら改めて彼に持ちかけてみようとまだ懲りない思想を持っていた)