『　雪と、紅椿　』〆

…お前がお喋りに来ない限り俺は此処に籠りっぱなしだしな。会話も部下や上官との業務連絡くらいしか無いから、良い息抜きになる。
（相手の言う通り、相手が定期的に此の将校室に顔を出し、それに日々救われている事は確かで。それが無ければ一日中任務に関する話や上官とのやり取りしか口にしない可能性も考えられる。彼が時々ふらりとこの部屋に現れるのは随分と良い息抜きになっていて。揶揄うような口振りと敬称に此方も楽しそうにくつり、と笑いつつ相手に着いて部屋を出て。新人兵達の稽古も終わる時間帯、上手い具合に場所も使えるだろうと思いつつ降りて行く。深みを増した橙が眩しい、相手のやや色素の薄めの髪がその光を受けて煌めく様は昔から見慣れた光景。久し振りの手合わせと、相手との会話で先程までの不機嫌はだいぶ解消された様子で。）
…分かってるよ、天下の九重隊長相手に手を抜きでもしたら殺され兼ねないからな。