『　雪と、紅椿　』〆

さァな、俺としては戦場に出てるかお前と話ししてる方が好きだからな。
（確かに指導教官から新兵たちの訓練へと顔を出して欲しいと言われる事は多々ある、然しながらそれをのらくらとかわすのは、いつ敵方と戦うことになっても良いようにという建前の反面、部屋へと篭る事の多い相手と言葉を交わせる数少ない相手だからという事もある。その為、訓練場へと顔を出すときは稽古をつけて欲しいという兵が集まるらしいが、それが真実かどうかは不明。迷うような、そんな微妙な表情が見えたのも少しの間。渋々、といった様子に見られたが、椅子から立ち上がり際に見せた笑みを見る限りそこまで嫌がってはいないのだろう。親友であり普段は使う事のない敬語や敬称を巫山戯るように口にすれば、笑みを見せ。ちらりと窓の外を見れば、訓練もそろそろ終わるのだろう。教官が新兵を集めて話をしているのが見える。もし、そこに相手を連れて出て行き手合わせを始めたら、新兵たちはどんな反応を見せるであろうか。それを考えれば自然と口角が上がって行き）
──そんな事言って、朔弥も実力はあるだろう？分かりやすい手加減はするつもりが無いんで全力で来てくださいよ、乃木上官？