北風 2018-08-14 22:50:50 |
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《第二部分》
「うわぁ!」
在り来たりな悲鳴を上げながら窓外に押し出された僕は、咄嗟に手を伸ばして目の前に突き出した枝にしがみついた。
衝撃で引っかかっていたノートが枝を離れる。
数秒後、地面に落ちるバサリという音が、僅かに耳に届いた。
「わ……わわ……」
一体誰が、と思い振り向くと、そこにはもう誰の姿も無かった。
しかも、開いていたはずの窓は閉められ、内側から鍵がかけられている。
「うわ、マジか……え、もしかしなくてもこれって殺人未遂?」
もはや傷付くとかそういうレベルの話ではない。
普通に警察沙汰だ。
そう考えて身震いしたが、今そんなことを考えている暇はない。
僕が体重を預けている枝は決して細いものでは無かったが、それでも14歳の男子が上に乗ればギシギシ軋む。
頼む、助けが来るまで折れないでくれ、と懇願するが、その瞬間不吉な音と共に枝の根本に亀裂が走った。
「ひっ!」
小さく声を上げると更に亀裂が広がる。
このままでは一分と持たずに落ちてしまうのではないか。
僕は唾をごくりと飲み込むと、たった今突き落とされた窓のレールに手を伸ばした。
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