水海 2018-08-14 18:09:38 |
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(武家屋敷のようなこの家は、己の神気で満ちた文字通り神の領域。くわえ水に由来する性質からか"呼"や"気"というものに酷く敏感なのである。人の子が一呼吸ついた時点で、肌を撫ぜる空気の流れの違和を感じ取っては早々に起床を察知しており。意図せずしてだんまりを決め込んでいる相手の戸惑いはまあ、人の世に疎くとも理解出来ぬ訳では無い。凡そ死んだものとばかり思っていたのだろう、そう当たりを付けては少しばかり同情を。あれだけ己の奥深くまで落ちてきたのだ、気を失う迄に苦しい思いをしただろう。そこまで考えが及んだとして、慰めてやろうなどと思い付きもしないのは神たる所以か。未だ此方を向かぬ事を良いことに、観察するような視線は止めず。長い髪は、己と同じ寒色だ。ふと発見した相似点に知らず頬が緩くなる。神が己の霊力を注ぎ込めば、その髪、その瞳は同じ色に染まるという。試した事などある筈もないが、試すまでもなくよく似たその色に親愛の情が湧くのはこれ迄の孤独のせいだろう。まじまじと観察する双眸も衣擦れの音に色を変え、取り敢えず澄まし面を浮かべてみせて。起き上がったものの此方を見もしない人の子に、深い溜息を付けば口を開いて。「大事はないな。私は揺蕩う深青の湖底の主にして、その正体を水海の化生。此処まで招いたのは数百年の私の生でお前のみ。_取り敢えずはよく来た、楽にするといい」先ずは身体の心配をすれば、自己紹介と共に迎え入れる言葉を紡ぐ。よく来た、とは溺れ沈んだ人間に皮肉なものだろうが、何分独り身が長いせいか寿ぐものになりがちだ。ここまで語れば、今度は視線をじいと向けて「ほれ、何をしている。次はお前が語る番だぞ可愛い嫁よ」怜悧な面立ちに似たわぬ幼げな動きで首を傾げて、相手の話を強請ろうかな。)
(/昨日の分のロルが打てず申し訳ありません。夜型人間故中々そちら様とは時間を被せる事が出来ませんでしたが、どうにか今日は滑り込みましたので拝見頂ければと思います。返信遅くなってすみません。)
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