むかーしむかし、あるところにそれはそれは美しい少女がおりました。
少女は精霊に愛され神にも愛されていたため、あらゆる魔法を使いこなすことが出来ました。
しかし、そんな少女を人々は「魔女」と呼び、忌み嫌っていたのです。
同じヒトなのに、魔女は人々から化け物のような扱いをされて過ごしておりました。
それでも魔女はヒトを嫌いにはならず、仲良くなろうといろいろと試みたのですが、全て失敗に終わります。
毎日涙を濡らしながら魔女は、叶わぬ夢を抱き続けます。
そんなとき、1人の少年が魔女に近づいてきました。
少年は魔女に好意的で、とても優しくしてくれました。
やがて魔女は少年に惹かれていきます。
少年さえいえば、他に何もいらない。
そう考えるようになったのです。
ですが、寒い寒い冬のある日。
魔女は少年によって、洞窟の奥深くに閉じ込められました。
少年は言います。
「魔女なんか死んでしまえ」
少年は出会った時から魔女を好いてなどおりませんでした。
何度も何度も仲良くなろうと試みる魔女を鬱陶しく感じたヒトが、魔女を陥れようと少年を遣わしたのです。
魔女は毎日毎日悲しみで泣きました。
なにもしていないのに、仲良くなりたかっただけなのに。
どれだけ仲良くなろうとしても拒絶され続け、挙句抱いた想いさえも裏切られてしまった魔女は、生きることに絶望し、自ら命を断つことをえらんだのです。
魔女の亡骸をそっと抱きしめたのは、ずっと魔女を愛してやまなかった神様でした。
「お前の優しい心と魂は私が大切に大切にしよう」
神様はそう口にすると亡骸と共に姿を消したのでした。
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