ストーリーテラー 2018-08-02 22:59:06 |
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>>リープ
(キザだと言われれば、当然だというように無言でただ微笑みを返した。糸車までの距離が縮まっていく間で、何度となく彼女が指先に力を込めるたび、それに応えるようにしっかりと手を握り込んで体温を知覚させてやり。こんな様子を見れば、あの子はどう思うだろうか。その表情を見るのも楽しそうだと夢想するが、その時間もリープの懇願のような言葉によって終わりを迎え、現実に引き戻される)
そうだね、でも歩くのはゆっくり。足が縺れて転んだりしたら大変だからね。……さあ、開けるよ
(もっともらしい理由を付けて、わざとこの時間を長く堪能しようと目論む。全ては、恐怖と過去に怯え震える眠り姫が可憐すぎるからいけないのだ、と心中ではサイコパスを遺憾なく発揮しており。それを微塵も表に出さない演技力は、もはや二重人格の域。否、本当にそうなのかもしれない。そうしている内に、辿り着いたのは塔の最上階、糸車の鎮座する部屋の前。その扉に、そっと手をかける)
…………あれが……。不自然なくらい綺麗だね
(部屋の中は薄暗く、中の様子を知るために一歩踏み入る。リープの手を先ほどより強く包み込みながら。やがてぼんやりと、部屋の中央に見えてきたのはかの凶悪な糸車。長らく放置されていただろうに、埃一つも被ってはいない。何者かが定期的にメンテナンスでも行っているのだろうか)
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