ようかいさん 2018-07-31 20:21:27 |
通報 |
あれが封印だったのか…、…人間か、 そうか。 何千年も経った後では何の意味もないかもしれないが、すまない。
( 軽々しく身体を動かし進んでいく相手を見失わないように、背中を追いかけていると、振り返った相手の口からは、封印したのは自分と同じ人間だという。その嫌悪の含んだ視線を真っ向に受け、何故だか幼い頃に四方から視える力を持った自分の向けられた視線を思い出す。 もちろん意図が違うことはわかっているのだが、相手の視線の痛さがちくりと胸に残っていて。 封印していたのは自分と同じ人間で、ここまで嫌悪しているのはきっと人間の身勝手な理由でだからだろう、見つかった言葉は申し訳程度の小さな情。 どんどん進んでいってしまう背中を追いかけていると、森の雰囲気が変化しここを訪れた時のような感覚が戻ってきた気がし、自分がつい先程まで人間が入るようなところではなかったというのを思い知らされる。 ふと顔をあげると都会に住んでいたら絶対に見えないだろう美しい夜空が広がっていて、思わず、おお、と声を漏らしてしまう。 空を見上げていると当然足も遅くなり、すたすたと歩いて行ってしまう相手が遠くなってしまうと、駆け足で追いかけ。 だんだんと景色が見慣れたものに変わっていき、やっとの思いで森を抜け見知った道へ出ると振り返り、礼を一つ言おうかと思えば不意に相手がその場で倒れこむ。 )
おい、おい大丈夫か、… どうすりゃいいんだ、
( すぐに駆け寄り、半身を起こして身体を揺するが、何度呼びかけてもその瞼が開くことはなく、何故倒れたかも人ではないものをどう治したらいいかも分からず唇を噛みしめる。 どうにかしないと、と焦りはするも、手段がない。 だが思うより先に身体は動いていて、相手の身体を抱き上げると足は乗ってきた車の方へ。 しばらく公道を歩き見えてきた自分の車の後部席に相手を寝かせ、車を走らせる。着いた先は一人暮らしの自宅で、駐車場に車を停めるとまた抱き上げ、自宅へと運び。一人暮らしにしては広めの自宅に着くと、すぐにベッドルームへ行き、一人暮らしだが寛げるようにと買ったツインサイズほどのベッドに横たわらせて。 シーツをかけてやり、熱がないか、呼吸はちゃんとしているのかを確認し、どちらも確認はできたが妖の狐である相手に必要であろうかは分からず不安は拭えないまま。 どうしたものか、と頭をがしがし掻き、その場に座り込みため息をついて。 改めて相手の顔を見てみれば寝てるといえどその美しさは健在で、真っ白な肌に真っ赤な唇が良く映えるなぁ、なんて少し近付いて見つつも、山を登ったり降りたりで流石に疲れたのかうとうとし始め、その場で眠りに落ちてしまい。 )
トピック検索 |