ようかいさん 2018-07-31 20:21:27 |
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迷い込んだねぇ … なんとも人間らしい情けない理由だ。
( 人に化けることと人の言葉を喋ること以外に特出した能力はないが一応は妖怪。人間を脅かしたり怖がらせることが本能なので、言葉を詰まられている姿を見るのは本能が燻られて満更でもない。過去の経験から人間に対して酷い偏見がある故に迷い込んだと知ればこれだから人間は、と野卑と揶揄と嘲笑に満ちた文章で見下す。腕を口元へと運び袖で口元を隠して意地悪そうに目を細めてくつくつと侮辱の笑い声を針のように刺し。 )
まぁいい。封印を解いてもらった礼をしよう。森への抜け道を案内する。その時にでもお前の質問に答えよう。
( 人間は確かに大嫌いだ。然しこの人間には封印を解いてもらった大きな借りがある。座っていた岩の上に軽やかにジャンプをして飛び乗れば出口へと案内すると。相手に質問の答えを要求して自分は相手の質問に答えないなんてそこまで意地悪い性格ではない。ふうっと辺りに一息吹けば濃い霧が一気に晴れ。今まで見えなかった綺麗な小川、苔が一面に広がる大きな岩々、若葉の山腹が西日を受けて野の只中に金屏風を立てたように見える茜色の夕陽、不気味な程に冷たい風。早く人間と二人きりという状況から抜け出したくて、返事を聞く前に高い一本歯下駄にも関わらずまるでスキップをするような軽やかな足取りで岩から岩へと次々飛び進む。早く来いというように真っ白な手で手招きを。 )
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