ようかいさん 2018-07-31 20:21:27 |
通報 |
… 汚らわしい手で触れないでくれないか。
( 今までの人間なら自分が少し睨んで尻尾で擽れば青白い顔をして逃げて行った。いや、自分が人の言葉を発した時点で虚を衝かれたように慌て逃げて行く。然しこの人間は驚いていたのは一瞬。そこからは驚くどころか物珍しくながめて魅入られたように茫然と恍惚と眺め入っていたように見え。妖怪である自分が言うのも変だが、その摩訶不思議で変わった男から発せられた言葉に驚かす側の自分が逆に驚かされ。人の言葉を話す大きな狐を前にして美しいなんて暢気な言葉を口にするのか。相手が驚かせてきたのはそれだけではなく、自ら自分に触れようと手を伸ばしてきて。先程まで雅趣に靡いていた尻尾で今度は厳しくその伸びてきた手を振り払う。人間なんて心の汚い者に触られては自分までもが汚れてしまう気がし。驚かす最終手段として霧を纏って人間の姿に化けて自分よりも背の高い相手に対して、冷たく鋭い瞳で憎悪と侮蔑に満ちた目線を送る。 )
トピック検索 |