とある公安所属の女 2018-07-20 22:31:27 |
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本文:本文:彼を心配するのはあくまで職場の上司で、彼が体を壊すと仕事が回らなくなるからだ、と自分の中で正当化しないと動けない自分が少し憎たらしいというか、堅物すぎて呆れてしまう。が、今はそんなことを気にしている暇なんてない。とりあえず、彼の睡眠時間と体調を持ち直すことが第一だろう。彼の帰る場所がどこにあるのかはわからないが、具合の悪そうな顔色や様子から帰るよりも仮眠室を使ったほうが賢いといえるだろう。時刻はすでに5時を回っている。彼の瞳をまっすぐに見据えたまま、口を開いた。
「私は、家が近いので大丈夫です。それに、無理なんてしてませんから。…それよりも、降谷さん、寝るなら仮眠室に行きましょ?」
あなたは頑張りすぎなんですよいろいろ、と付け足し困ったように笑みを浮かべる。自分でも何を言っているのかわからないけど、たぶん寝不足で思考回路が麻痺しているのだろう。別に、、ばちなんて当たらないだろう。二徹した三十路女が同期を心配するような言葉を伝えても。どうせ、伝えることもかなうこともないのだ。
彼女の背中を見つめつつ、次の言葉を待つ。彼女は組織にとって大切な人材だ。たしかに、殺人や暗殺などの任務には向いていないが、それ以上にそんな物以上の才能を持ち合わせている。そもそも、拳銃は使っても手入れのできないものが多かった組織を改善したのは紛れもない彼女だ。どこかで間違ってもそんなことはガラでもないため言うつもりなどないが。いつもなら、何かしらの手土産を持ってくるのだがこの日はうっかりして忘れてしまった。手土産は次回へと先延ばしだ。
相手の手入れに関する問いかけに頼んだ、と短く返し、視線を落とした。
「なぁ、レイン、…なんか、欲しいものとかあるか?」
彼女を甘やかしていることはすでに自覚している。まぁ、こればかりはどうしようもないのだろう。部下とはいえど、かわいいとは言えない奴等ばかりで。だからこそ、余計に甘やかしてしまうのだ。ガラでもないが、別に彼女以外知っている人物なんでいないだろうし別にいいのだが。どうも彼女の前では気が抜けてしまう
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