ヴァンパイア 2018-07-19 17:51:28 |
通報 |
察しが良くて助かる。僕はヨハン・ユーリウス。『君の』新居が見つかるまでの短い期間だが、よろしく。それと僕は男だ、美人はやめろ
(ごとりと音を立てて新築の床に落とされたビールにはピクリと眉を動かし苛立ちを見せるが、握手をと手を出されればその手へと目線を落とす。性格に相応しい骨ばった手だ、自分の細い指は簡単に折られそうだ。実際に折れるのは向こうの手だが。こちらも手を差し出し握手に応じると、必要最小限の時間で手を離した。そしてあくまでもこの部屋を出ていくのはお前だと言葉を強調する。せっかく大学から近くヴァンパイアが周囲にいない場所を選んだのだ、これ以上の好立地を逃せるわけない。相手は見たところフラフラとした人間だ、その日暮らしをしているわけではなさそうだが何かに固執したり1つの地に住み着くタイプには見えない。ついでに先程から聞こえてくる「美人」という言葉を止めさせようとするが、このタイプの人間はどうせ言っても聞かないようにも思う。挨拶も一区切り着いた、とっととこの部屋の主導権を握ってしまおう。「さて、数日間共に暮らすだけだがルールを決めておこう。とりあえずお互いの生活を邪魔しない、これは絶対だ。」人差し指を立てまずは1つ目。短い間だが警戒は必要だ、自分の正体がバレるのが1番まずい。相手がどんな生活リズムか分からないが、この時間に帰宅するなら夜は顔を必ず合わせることになる。なるべく干渉しないのが1番だ。「そしてもう1つ、この部屋で怪我をするな。…僕は血液恐怖症だ、見たくもないものを見せないでくれ」2つ目の指をたてる。相手からすれば奇妙な要求だろうが、ここは釘をさしておかなければならない。普段の生活ならばどうということないが、部屋という密室の空間で血の馨しい匂いが漂えば歯止めが効かなくなる可能性だってある。少々違和感を感じられてもどうせ短い付き合いだ、問題にもならないだろう。そんな甘い見通しを立てながら相変わらず鋭い目を目の前の無精髭男に向けていたのだった)
トピック検索 |