__都会の喧騒から離れた、深い深い森の中。
古き良き時代のまま、埃を被った校訓を守り続ける乙女の花園。
清く、正しく美しく、淑女としての品位を以て。
いつか、美しい姫君として森を旅立つその日まで。
……ああ、けれど。
完璧に咲いた花など、手に入れたらそれで終わりでしょう?
非の打ち所がない娘なんて、つまらないお人形と同じ。
血の通った姫君は、何時だって愛されるための欠如を伴うもの。
欠けたからこそ、無くしたからこそ、美しさはより引き立つわ。
皆、本当は気付いているはず。
だって私達は皆、あのイヴ様の娘。
欠けた聖女様が、完璧を無くしたからこそ生まれた子供達なのだから。__
※合図があるまでお静かに※