吸血鬼 2018-06-27 00:10:52 |
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っ…………。ハリー……。
(普段大声を出すことなどない自分があんなに声を張り上げたのは、それこそ何百年ぶりで、喉がその負担の大きさを訴え、軽く数回咳き込む。それでも、まだハリーに声が届くこと、彼の声が聴こえること、彼が重傷を負わなかったことに安堵し、彼の名を呟きながらずるずるとその場に崩れ落ちる。そのまま態勢を変え、扉を背もたれにして床に座る形になって)
…………これで、よかったと思うか?
(思い出すのは、彼がこの屋敷に迷い込んできた初日のこと。彼は間違いなく、この屋敷から出たがっていた。そしてそれが今、現実になったのだ。ラザロは次に、自分の気持ちに思いを馳せる。ハリーに向ける感情はとても難しいが、はっきりと分かることは、彼にずっとここにいて、自分と一緒に暮らしてほしいということ。だが、果たしてそれが彼の為になるだろうか。自分には、そう思えなかった。これでよかったんだ。そう思い込もうとして、けれどどうしても溜飲が下がらない。その複雑な思いは、一つの問いとなって口から零れ出て)
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