吸血鬼 2018-06-27 00:10:52 |
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そうだろうな。大抵そういう人種は顰蹙を買い敵を作るものだが、お前はそうではなかったのか?
(我を通しながらも周囲と上手くやる、その難易度は高いだろうと、彼の言うことに同意する。今まで話していて、彼はどこか世渡り上手な印象を受け、実際のところはどうなのだろうかと問いかけて)
…っ、ふ。全く、間違った吸血鬼像が人間界では定着しているようだな。俺達は、人間と同じように老いて死ぬ。ただ、お前達に比べて時の流れが緩やかなだけだ。にんにくで怯んだり、十字架や聖水で致命傷を負ったりもしない。……無論、好みもしないがな。人間は、どのくらいの期間、食事を断てば死ぬんだ?
(ふと、小さく零れるように笑ってしまった。自分たちが不老不死?それこそ荒唐無稽だ。確かにそういった不死の生物が存在しているという事実もあるが、吸血鬼にも人間にも等しく死は待ち受けている。そして浮かんだ素朴な疑問を、さきほどうやむやにした問いと交換するように問うて)
…………廊下に茣蓙でも敷いてそこで寝かせてやろうか。全く……お前さえ気にしないなら俺は構わん。だが、いびきの一声でも漏らせば締め出してやる
(親切心を笑われた、という思いから、一転して不機嫌そうな顔に変わり、低い声で冗談に聞こえない冗談を述べて。やれやれ、と溜息を吐きながら、寝室の扉を開く。そこには、仄暗いシャンデリア、臙脂色の分厚い遮光カーテン、黒檀のような光沢のある棺など、いかにもな家具が並べられた光景が広がる。その気になれば3、4人でも生活できそうな広さで)
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