吸血鬼 2018-06-27 00:10:52 |
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.....なるほどな。つまりお前は、俺の正体を知って尚、俺のことを恐れないと?
(初めて見るハリーの笑顔に、つられるようにこちらも少しだけ表情が綻ぶ。こんなに穏やかな気持ちになったのはいつぶりだろうか。誰かと言葉を交わすことすら久しいラザロは、彼のこの笑顔を覚えていよう、と人知れず自分に誓いつつ、ふと疑問に思ったことを問うて)
お前は学生なんだろ?学校に連絡を入れなければ、教師や友人、家族がお前を探すんじゃないのか?
(誰にも探してもらえないという旨の発言に、ラザロは違和感を覚えた。記憶が正しければ、人間とは群れるものだ。それに彼は医学生、学校とは人間の集まる閉鎖的コミュニティでもある。それ以前に、家族すらいないかのような口ぶりに、ふと自分の数百年の孤独を重ね合わせ、思わず疑問を口にして)
.....後になって諍いを起こしたくないから言っておくが、血を飲まないヴァンパイアなど存在しない。もちろん俺もだ。お前を襲って無理に血を貪るような真似はしないが、俺の前で出血を伴う怪我はしないよう注意を払ってもらえると助かる。血を飲む意思がないとは言え、数百年ぶりに目の前で血を見せられたら、自制出来る自信が無い。
(どうやら自分の言い方が誤解を与えてしまったらしい。ラザロは正真正銘のヴァンパイアであり、生きていくには人の血を摂取することが絶対条件だ。それは意思が云々の話ではなく、自然の摂理であり、本能の領域である。つまり、ラザロの目の前で血を流すのは、飢えた獣の檻に生肉を放り込むに値する行為だと説明し、注意を喚起して)
この屋敷は、俺を永久に閉じ込めておくために拵えられた。俺は望んでここに住むことを決めたのではなく、ここに封じ込められたと言っていい。そういう意味では、この屋敷の主人は俺ではなく、俺を閉じ込めるためにこの屋敷を作った者を主と呼ぶべきかもな。設計上、この屋敷に必要なのは、俺だけだ。人や獣、その他の生命、余計な不純物が屋敷に入り込まないように.....そういう呪いもかかっている。誰もこの屋敷を見つけられないとは、そういうことだ
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