柊 2018-06-21 18:22:54 |
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<チャンスの前髪>
前髪を切った。かなりばっさりと。
今まで目が隠れるか隠れないかの生徒指導モノの前髪だったのを、思い切ってオン眉にした。
なのに、誰にも“切ったね”とはいわれず、なんとなくつまらないんだ。
ぼーっとひとり、廊下を歩く。
数メートル先にあの人の後ろ姿がみえて。
彼が突然振り返るから、見つめてたのがバレるんじゃないかって、焦る。
視線を逸らそうとしても、なぜか惹きつけられてしまって。
いっそ見つめてしまえ!と目線をあげる。
逸らした視線の先には無いであろう、彼との視線の交わりが生まれて。
じっと捉えて、どちらも逃がさない。
緊張してると彼がニヤリと笑いかけてくる。
なんだか安心してこちらの頬も緩んだ。
次第に縮まる距離。
少し背をかがめて顔を覗きこんでくるから、「なによ、」なんてそっけないふりして微笑むんだ。
気づかれないように。
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