赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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(普段こそ引き籠もりのごとく外を出歩く機会が薄いこの男を少しでも多くの人に知って貰おうと企画をしたのはドードーだったか、恋人の存在だったか。面倒くさいと文句を繰り返せども規定の時間になれば確りと遊園地内を回る律儀さを持ち合わせているようで、今だってまた遊園地の中をグルりと巡っている最中だったらしい。その姿はと言えば鶏ガラのような足はスキニー形の右足は白黒ストライプ、左足は白黒ダイヤ柄、黒のロングTシャツとサスペンダー、陰鬱な顔を半分ほど隠すような黒のレース生地のベール、足元は右足が黒左足が白のパンプス。と言ったピエロやマジシャンのようなサーカスの一員と言った雰囲気の仮装。そろりとした声色で呼び掛けられれば際立つようなマットな黒リップの乗る唇を一の字にぎゅむと結びゴクリと生唾を飲み込んで。ギギギと油切れのような音でもしそうなぎこちない動きで振り返れば久しぶりの声出しだからか最初こそ引っ付くような喉の乾きを感じる音で「よォ。」と返事を。自分がフラミンゴで間違いないことを示す為か、筋の浮く手を彼女へ向けてひらりと揺らし、もう片方の手で抱え持ち歩く中に景品の入る逆向きのシルクハットを差し出して「ハッピーハロウィン。よく俺を見付けたな、ゲームの景品をやるよ」釣り上げるように口角を持ち上げれば人見知りを誤魔化す為か癖のように自らの頬を指先でポリと掻き、"ホラよ"と中身を渡す言葉を続け。彼女の勝ちならば中には兎のマスコットが、フラミンゴの勝ちならば中にはキャンディの詰合せられた小さな缶が入っていて)
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