アリスは憂鬱な夢を視る　/　半無登録、指名制　/　NBL　/

＞転

(今この場で明確な返事を出さない事がとても賢い事だと受け止めた。もしも、此処に立っているアリスが有り触れた価値観を持つアリスだったならば、今この場を上手く円滑に回せればそれでよいと考えてきっと"白の女王の味方です"と口八丁に述べたのだと思うからこそ余計に目の前の彼女の選んだ返事が印象強く心に刻まれた。ほんの少しだけそんな感情が驚きとして顔を覗かせれば"へぇ"と面白がるようなふわりと浮ついた声色での独り言を相槌代わりに落としてから両方の眼をぎゅうと瞑る様ににっこりとした笑顔を表情にし、「じゃぁ、これは貸し一つにしてやろう。この貸しは何れかの場にてきみか帽子屋から確りと返して貰うとして……、今この場は私が力を貸してやろう」一呼吸を途中に交えてから協力する旨を結論として結べばちゃっかりとこの場にいない帽子屋を貸しの中に交えながら彼女の隣に並んで「私を見失うんじゃないよ」と先の意地悪は顔を忍ばせるように再度人当たりの良いそんな空気感で穏やかに声を掛け。彼女に歩調を合わせることを意識しつつ歩みを再開するあたりは名の通り騎士宛らの紳士的で、時折そんな彼女を横目に捉えて様子を伺いつつふと気になったのは衣類の善し悪しをよくわからずとも、そんな無頓着な自分ですら彼女の纏うドレスが一級品だと理解が出来るその衣装で「きみは、……随分と帽子屋のお気に入りなんだな」興味深いと思えばそこを突くことを忘れない。世間話のように、少し揶揄うように、そんな語尾の上がる声色で道中の世間話として落とそうか)