赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>帽子屋
…そっかァ。ふふ、有難う。帽子屋さんの特別な衣装を着させてもらうことで、少し帽子屋さんと離れておったとしても傍にいるって思えるような気がするから、本当に嬉しいわァ。ふふ、嬉しい…って、何回も言い過ぎて有り難み、薄まってないやろか?(彼が衣装に対する熱を語るのを聞けば、より一層喜びが満ち溢れる。ただでさえハロウィンという催しが楽しそうだというのに、彼の言葉を聞けばさらに楽しみが増えてしまった。彼の口から特別という単語を聞くだけで簡単に心が躍る自分がいてどれほど単純なのかと呆れもするが、感情が溢れ出るということ自体が久々で留められそうにない。まだ見てもいない衣装を思い浮かべ己の肩へ触れ、その手へ頬を寄せれば着たときに感じるであろう感情が込み上げてくる。目を細め柔らかな笑みを浮かべながらありのままの感情を口にしてから、ハタと気付く。込み上げる感情を抑えることが出来なくて全て口に出してしまっていた。何度も言えば軽い気持ちで言っていると思われないだろうか、という不安が込み上げてくる。それだけはなんとか避けたくて困ったように笑い問うことで確認をし。彼のお礼の言葉は自分と同じ気持ちがこもっているような気がして、それだけでは伝えきれない思いが伝わってくるような気がして照れくさくなってしまってはにかむような笑みを返すことしか出来ない自分がもどかしい。もっと長い時間を過ごせばこの気持ちに言の葉を付けることができるだろうか。笑い声をあげた彼にきょとんとしまうものの、同じことを考えていたのだと理解すれば自然とクスクスと笑いが溢れ「なら、頼るしかないなァ。此れからも宜しゅう、帽子屋さん」彼の腕に手を添え少しだけ背伸びをし頬へ軽い口付けを。頼りたい、頼られたいと互いに思っていたとわかれば、余程のことがない限り散歩など出掛けるときはきっと彼に共に出掛けてほしいと願うことだろう。本来ならば彼に頼りっぱなしは良くないのかもしれないが、頼っていいと言ってもらえることが嬉しくて、嬉しさが少しでも伝わりますようにという願いを込めた頬への口付け。最悪、思いが伝わらなくてもいい。ただ贈りたかっただけなのだから。背伸びしていた身を戻し改めて隣に並ぶ。此れからはこの並びが当たり前になりますように、と願う自分がいた。握った彼の手に力が込められれば、怖がる必要も不安を感じる必要もない、大丈夫だよ。そんな言葉が聞こえてきた気がして自然と肩の力が抜けていく。ひとつ息を吐き出し「はんぷてぃだんぷてぃ。えらい長いお名前やわァ。噛まずに言えるやろか?」おどけた言葉を口にすることで緊張が抜けたことを示す。彼の手に導かれるまま店の中へと入れば、左右いっぱいに広がるキラキラふわふわしたお菓子の数にチカチカとしてしまう。一度目を伏せ頭を振ることでチカチカを落ち着かせればゆっくりと瞼を開き改めてお菓子たちへ視線を向ける。パーティーにどのくらいの人数の人が来るかはわからない、ならば沢山用意しておいたほうがいいだろう…と思ったところで気付く「あかん。帽子屋さん、まだ私お金持ってないわ。働かせてもらってから買いに来た方がええんとちゃう?」此処にあるお菓子たちはどれだけ見ていても飽きないばかりか食べてみたいとさえ思う。然し無一文から変わっていないのだ。ならばお菓子を買うことは出来ない。ならば先に彼の元で働かせてもらい給金をもらってから買いにくるべきだったと今更気付くなんて申し訳ない気持ちになる。だが、白しかないと思っていたマシュマロが沢山の色を纏っていることがとても気になる。味も違うのだろうか?それとも同じ味?気になってしょうがない故に、ちらちらとマシュマロへと視線を送ってしまっていることにはまだ気付いていないようで)
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