赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>リトルオイスター
ほらあ、やっぱ遠いんじゃん。(何となくそんな気はしていたとばかりにゆらゆらと体を揺らして徒歩移動への抵抗を表現していたものの、聞けば聞くほど魅力的な相手の住まいに期待がふつふつと高まっているのもまた事実。とは言え、取り分け眺めが良いだとか、綺麗だとか、美味しいご飯だとか、写真や心に"映える"ものには滅法弱い性分である。初めは唇を尖らせたまま文句を垂れる姿勢でいたはずが、気が付けばすっかり相手の家まで遊びに行くという流れは出来上がっていたようで、「泡風呂とふかふかのベッド付きなら歩いて行ったげてもいーよ。」と、例えそんなものが無くとも行く気はあるくせに、ちろりと舌を覗かせながら暗に上等な待遇を強請ってみせた。図星以外の何物でもない相手のリアクションに最初は少しずつ零れるようだった笑いが次第にあはあは、とはっきりしたものへと変わり、ツインテールを鷲掴みにされる頃には口を開けて楽しそうに笑いながら「もおー、何してんだしー。やめてよ、髪崩れちゃうじゃんかー。」と、自由な片手でやんわりと相手の手首を掴んで制止にかかり。きちんと用意していた購入資金を手に、殆ど置いてけぼりで自分と相手との騒がしいやり取りを見守ってくれていたであろう店番に歩み寄ると「はい、これちょーだいっ。」とお菓子でいっぱいの籠を差し出す。優しい色合いの素朴なクッキーについて問う声に、「そっ。仕事の虫おじさんにお土産。こういう素朴な茶菓子は紅茶の風味を邪魔しないから良いとか何とか言うんだよ、多分さ!」今自分が彼をそう呼んだ事は秘密だ、と言わんばかりに人差し指を口元へ押し当てながら頷いた。袋詰めされた菓子を受け取り、笑顔でお礼を告げてから改めて相手の方へ向き直ると「リトちゃんありがとね、超楽しかったしお菓子買えて超満足。」と、満面の笑みでぺこっと軽く頭を下げて)
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