赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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口が上手だね、そう褒められたら悪い気がしないわ。(ストレートなお洒落と言う表現は洋裁を主にする自分にとって何よりも嬉しく、また、何よりも自信に繋がる物らしい。目尻に刻まれる年相応の皺を濃くすると伝える言葉通りの感情を表情に浮かべて前述を。然し、と真直ぐに伸ばした人差し指の先を彼女の眉間にちょんと示すべく宛がえば「アタシは確かにアンタに手を出さないって約束出来るから良いけど、……でもね、不思議の国に住むのが良いやつばかりって訳じゃないんだから。そう簡単に誰でも彼でもついてったらダメ、場合によっては殺されちゃうんだから」彼女のように愛らしい見た目をしていれば手を出したくなるだろう住人とてぱっと考えるだけで幾人も脳裏に浮かぶ。然しそれよりも心配になるのは残る数名がその命を狙う可能性で。小言の様なそれは宛ら過保護な母親が娘にするものにも似ていて、一通りの小言を終えた所で「でも、ま、アンタの為に期待に応える様なお洒落な靴を身繕ってあげる。楽しみにしていいよ」”行こうか”と軽い声と微笑みを送ればパンパンと二度ほど手を叩いて「ほら、聞いてたんでしょ。此処にはまた来るから今日は道を開けて」突如と送った発言は明らかに彼女に向けてではなく、そしてそんな呼びかけにきゃらきゃらと薔薇が高い音で笑って見せれば目の前を塞いでいた蔦が解けて森へと続く道が一本になり、にっこりとした笑顔で傍の薔薇を一輪指先で撫でて「アリガトね」と感謝の言葉を送る。改めて彼女に向き直り教えられたその情報、何よりも本名を忘れたと言う事が何を示すのか。元より名を覚えていないのであればきっと彼女は元のクニに戻る事は出来ないと確定しているようなものだと胸中に落とし、数秒の沈黙を。それもつかの間に彼女へ片手を差し出せば「コロって言うんだ、可愛い名前じゃない。」口元に優しい笑みを浮かべて、何よりも本名じゃ無いからこそ呼ぶことが出来るその名を自らの声で繰り返し。「でも、そう。さいころ、ようはダイスねぇ……ここにもダイスを使った賭け事が大好きな悪魔がいるよ。あんまりおススメはしないけどね」道中で思い出す様に告げる住人はきな臭いうわさが絶えない一人、ゆえに少しばかり苦い表情で「アンタのそれも細工してるの?」にい、とからかいを含んだ声色で問いかけるそれの裏には暗に悪魔のダイスには細工がされている所謂如何様勝負だと言う事を示していて)
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