赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>ギデオン
んあ?───そうそう。生えてんの、ほら、……ってえ、けど。またすぐ生えてくんだよ(初見のアリスの多くは飾りだとか生花をヘアアクセサリー代わりに身に着けていると勘違いをするからか、慣れた様子である種男らしくも大きく育ったダリアを鷲掴みし花を摘むと言うには肉を剥ぐような生々しい音をずるりと立てて最後にはぷちんと切る様に摘み取って。手の平に残るその一輪を彼へ向ければ一呼吸の内に今しがた毟った物よりは聊か小ぶりなダリアの花がちょこんと生まれ"ね"と短いひと声を共にして嘘ではない事を証明として。摘み取った花をそのまま彼の耳に引っ掛ける様に飾れば顔をくしゃりとさせた懐っこい笑みを浮かべて「あげる、お揃い」と戯れの様な軽口を付け加え。そうしてついて来て居ることを後ろから聞こえる足音で感じつつ、きゃらりきゃらりと甲高い声と共に時折突っついてくるような薔薇の蔦が恰も『私が見つけたのよ』『アリスはちゃんといたでしょう』とでも言っているようで、それに対してうんうんと時折頷けば「ありがとうね。アリスが見つかったのは君たちのお陰だよ」とにこやかに感謝の気持ちを送り。そんな対応に気を良くしたのだろう、迷路のようだった薔薇は目の前の道を開いてくれて目の前には開けた空間が広がって。煉瓦や枕木で作られたガーデンは庭園と比較すると少しばかり控えめで自然的、飾られる花も薔薇のような豪華さは無くダリアやジキタリス、チューリップにスズランと季節を問わないような様々な種類の小ぶりな花が高さや色味を考えた配置で咲いていて。そんなガーデンを一望できる芝生の上によいしょと腰を落とせば胡坐をかくように足を曲げて「お隣どーぞ、ほんとに食べないの?今日はライオンが作ったベーグルサンドだから美味いのに。食わなきゃ損だよ」ガサゴソと紙袋の中を開けば発言通りのベーグルを取り出して。スモークサーモンとクリームチーズ、アボカドと彩りも栄養も考えられたそれを大雑把にも半分に割れば片方を差し出して「先に嫌なこと言うけど聞いてね、───あなたはもう帰れない。不思議の国に選ばれちゃったら諦めるしかないんだ」懐っこく甘えた雰囲気は一転、落ち着き払った冷静を保つ真剣な眼差しで真正面より彼の事をまっすぐに見つめながらある意味では冷たさすら含む声色で事実を送り)
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