赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
|
通報 |
>白兎
(強過ぎる薔薇の香りにくらくらと眩暈を起こしそうになりながら当ても無く進み始めて数分、突如後方から聞こえた人の声にぴたりと歩みを止めたかと思うと「人!」と、思わず声を上げて勢い良く振り返る。そう、此処へ迷い込んでからと言うもの、兎にも角にも自分以外の"人"の存在に飢えていたのだ。此方がはっきりと相手の姿を視認する頃にはつかつかと近付いて来るその足取りがあまりに凛々しく堂々としているものだからつい反応が遅れそうになったものの、ぱちぱちと瞬きをしながら信じられないとでも言いたげに眉を寄せると「ちょ、兎じゃん。マジ?生えてんの?ありえなくない?」などと無遠慮に相手の姿を観察し始め。正直、不愛想な態度も告げられる言葉も今一つ入って来ない。関心の全てはその姿、取り分け頭の上からひょこりと顔を出す可愛らしい兎の耳へと向けられていた。それこそ今にも手を伸ばして触ろうとする勢いで再び歩き出す様子を見詰めていたが、置いて行かれそうになって漸く我に返ったらしく「あっ、待ってってば!城って何、アリスって誰、意味分かんないんだけど!」と、慌てて相手の後ろ姿を追い掛けて)
(/そのように仰って頂けて光栄です、ありがとうございます…!こちらこそ、宜しくお願い致します…!)
| トピック検索 |