赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
通報 |
>ムカデ
そうか。何とかしてアレに報いたいのだが――、
( 拾ってくれたばかりか住まいを提供してくれる悪魔に対して、その下心には微塵も触れることなく、胸中に抱くのはただ役に立ちたいという一心で。否、同時に役立たずとして放り出される不安に勝手に慄いているとも言えるが。前のめりになる気持ちは、ムカデの尤もな諌言によってしゅるしゅると萎み「 ……これは不覚。ムカデ、この事は我輩と君だけの秘密にしてくれないか 」今度ばかりは、自分の保身よりも心から悪魔の商売を慮り、1歩距離を詰めては「 頼む 」と、逼迫した面持ちで見つめて。宙を舞うコインを鮮やかに閉じ込めた手中を、穴が空くほど真剣に眺めて「 表だ。 」 視線を男の細くも色めいた双眸に移し。得られた解は晴れやかなものではなく僅かな曇りが残るものの、自分の名を否定された訳では無いと解釈すれば凛々しく背筋を伸ばし「 申し遅れた、我が名はアガメムノン。森のムカデよ、君に会えて光栄だ 」と、些か畏まりながら改めて挨拶を )
トピック検索 |