赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>アダム
(もくもくと上る煙の動きをつい視線で追いかけてしまう。遠慮なく距離感を詰める彼を不躾だと思うのではなく、身の回りにいない傾向の彼を面白いと思ってしまった。ゆっくりとしたマイペースな動きで立ち上がれば自らも彼へと近づくように歩みを進ませ、今しがた踏みつぶした煙草の吸い殻を拾い上げる。指先につまんだそれを白衣のポケットにしまい込めば「もしかして、君。___あー、そう。そういうこと」その際に聞こえた言葉により今ここに来たばかりで初めてこの国で出会ったのが自分だと言う事。思わず眉間を抑えてしまったのは久しぶりのアリスを迎えるこの役目に嘆きかけたからか。額に押し当てた指を下ろしてから顔を上げると「僕は三月兎、不本意だけれど今から君の付添人をやらなきゃいけない可哀想な兎。君はアリス、どこかのクニからここに迷い込んでもう二度と戻ることが出来ない可哀想な人間。アリスの君はこの国で生きていく訳だけれど、この美しい庭園が吸い殻だらけになるのは阻止したいから。不本意に不本意だよ。でも仕方ないから君を薔薇の匂いがしない場所へ連れていく」長く息を吸い込めばふうとため息のようにそれを落とし、腹を括るように器用にも垂れる耳の先を揺らすことで進むべき方向を示して)
>アガメムノン
(本来であれば何をせずともアリスと言うだけで持成されるのがこの国なのだ。にも拘らず見返りを求められて、それが普通じゃないと言う事も知らずに、それでいて仕事を与えられて喜ぶ彼の何と可愛いことか。ただ可愛いだけなら味気ない、健気なだけではなく言葉のやり取りの心地よさがスパイスとなっているのだから本当にいい拾い物をしたとにやけ面が浮かび。そうして到着した邸宅前に先を進む彼を慌てて追いかけることはせずにマイペースに視線で追いかけつつ、そして伝えられた言葉とそれを述べるその表情に思わず一拍分ほどの間を作ってしまう。日がな一日金を毟り取るために騙して生きる己にとって余りにも馴染みのないストレートな言葉だったらしい。片方の手を己の口元を塞ぐように宛がい浅い動きの瞬きを一度、「空いてる部屋を使っていいよ。でも鍵はない、夜這いするのに邪魔だからね」口元に充てていたてを下ろしては冗談とも言い切れない本音交じりのからかいを添えてニッコリとした笑みを見せて。彼のことを抜くように足を進ませれば自分にとっては慣れ親しんだ家へと入ろうか)
>鷹山
″不思議の国のアリス″?、ここは不思議の国でアンタはアリス、単語だけなら一緒だね(芋虫と言う名を元に彼の口を付いたそれが物語のタイトルだとは知らず、だからこそ彼の境遇に当て嵌めながら明るくハキハキとした喋り口で続け。腕を絡めていたからか、唐突に止まってしまった彼の動きに思わず引き留められると突如の動きに長い髪をハラリと揺らしつつ視線を向け、そして強い口調で向けられた発言にパチリと瞬きを。一瞬、勢いに押されて動きを固めるとワンテンポ遅れて状況を把握する。きっと彼は、たとえ今はどんな情報でも欲しいとしても、それを告げることで自分の立場が不利になるならば言わなくて良い知らなくていい、そういう事なのではと考えを続ける。飽く迄も自分なりの推理のそれを元にすれば″ふ″と吐息を落として「アンタは本トに良い男だよ」と頷きを一つ。「アリガト、城ほどじゃないけどアタシの自慢の家なんだ。___もちろん、こっちだよ」と彼を誘導するようにハイヒールはカツンカツンと音を立てて先を歩く、直ぐに見えてきたその場所にて「ハーイ。美味しい紅茶を二人分頂戴、我が家のアリスを連れてきたんだ」己の登場にのろのろと紅茶を用意する眠り鼠と、突然のアリスに興味を隠さず遠慮のない視線を向ける三月兎が。先に口を開いたのは鼠で『よろしくねぇ、今日の紅茶はチョコレートのフレーバーなんだぁ』と聞いているだけで眠たくなる喋り方、ふわりと甘さの香るストレートティーを空いている席に用意すれば『アリスもどうぞぉ』と手を向けていて)
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