赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>悪魔
……余計な事は考えるな、と。
( 悪魔が素直に追加の情報を明かしてくれた事は僥倖だったが、それでも本当に欲しかった明確な説明は得られず。この男にとって名前は軽いもの、それが自分のものであろうが他人のものであろうが同じなのだろう。改めて、目の前の美しい男に底知れぬ不気味さを感じ、く、と息を詰まらせる。「 我が名は君には明かさない。君にとって我輩は"アリス"、それは受け入れよう 」それが、此処で生きていくための条件だから。そう心に刻み、今では没落した王族の墓標ほどの価値もない真実の名を、悪魔には明け渡すまいと胸に誓い。至極近い距離で言葉を吐かれた呼気に、擽ったそうに素直に反応しては身を捩り「 解っている。我輩は――アリスは、悪魔の為に働こう 」"それが契約だろう"と付け足し、揶揄われたことにも気付いていない初心な王は、自分で止めた歩みを自分の意志で再開して。スタスタと歩を進め、ざわめく森の木の葉にまた不安感を掻き立てられれば、くるりと悪魔へ振り向き )…どちらへ向かえばいいのだ。
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